自律神経とは

 

自律神経とは、自分の意志とは関係なく自動的に働く神経のことで、呼吸・循環・消化・生殖・排泄などの生命維持に必要な機能を調節しています。

自律神経には交感神経副交感神経があります。

交感神経と副交感神経は相反する機能を持つ神経で、交感神経は身体を活動的にする神経、副交感神経は身体を休ませる神経です。

 

交感神経が働くと、心臓の働きが活発になり、血管が拡張して、血流が増加して腕や足の筋肉などの各運動器に血液が行き届きます。

副交感神経が働くと胃腸の機能が高まり、消化を促進します。さらに心臓・呼吸の働きが抑えられて体を安静に保とうとします。

 

なので、運動や仕事をするときは交感神経が主に働き、食事や睡眠のときはおもに副交感神経が働いているといえます。

 

人の身体には生命を維持するために体の状態を一定に保とうとする機能(ホメオスタシス)があります。自律神経はその機能の一つであり、温度や湿度、日光量などの外部環境の変化があっても自分の身体の内部環境(内臓や血液など)を一定の数値に保つことで生きることができます。

ホメオスタシスは他にはホルモン分泌や免疫という機能がありこの3つの機能はそれぞれが強調しあって自動的に生命を維持しています。

 

外部環境の変化は温度や湿度だけではありません。人間関係や日常生活でのストレスに対しても自律神経は働きます。

人間関係には、喜怒哀楽といった感情が生まれます。この感情に対して心拍・呼吸という形で体が変化を起こします。

笑ったり、泣いたり、怒ったり、不安になると呼吸が早くなり心臓がドキドキすることがあります。

また、仕事や日常生活で生じるストレスも自律神経は働きます。

 

仕事は緊張感の中、正確に物事を行うので非常に交感神経が働きやすい環境です。

さらに、家事も同じく交感神経を使います。料理・洗濯・掃除といった作業を正確にこなすために自律神経は働きます。

 

現代人はストレスにより交感神経が過剰になり、副交感神経が低下している状態に陥りやすいといえます。

 

自律神経が乱れると

外部環境の変化に適応するために働くのが自律神経ですが、この環境変化が慢性的に長期にわたって起きると自律神経は正常の機能を失うことがあります。

正常な機能とは、自律神経は交感神経と副交感神経が強調しあって環境の変化に適応します。つまり、常に交感神経だけが働き続けることはありません。

しかし、長期間の環境の変化で交感神経・副交感神経どちらか一方が働き続けるとその協調関係が崩れてしまい、もう片方の神経の働きが停滞してしまいます。

その結果『自律神経が乱れた』という状況になり、専門的には自律神経失調症といいます。

 

自律神経の乱れ、自律神経失調症になる原因で特に注意したいのは40代を超えた女性(更年期)です。

女性は40代を超えるとホルモンバランスに大きな変化が起きます。

そのホルモンバランスの乱れが自律神経にも影響を及ぼし自律神経が乱れることが多くみられます。

 

自律神経が乱れると、呼吸・循環・消化・排泄の機能に異常がでます。

 

身体症状では

耳鳴り、めまい、片頭痛、動悸、ほてり、不眠、便秘、下痢、微熱、手足のしびれ、口やのどの不快感、頻尿、残尿感、慢性的な疲労、だるさなど

 

精神症状では

イライラ、不安感、疎外感、落ち込み、やる気が出ない、憂鬱になる、感情の起伏が激しい、焦りを感じるなど

 

これらの症状は一つだけで出るのではなく、同時に出ることが多いです。また、天気や季節によってその症状が強弱します。

 

 

 

自律神経の乱れを整えるには

自律神経は自分の意志で動かせない神経であることから、一度乱れるとその乱れを整えるには時間がかかります。

自律神経失調症は仕事・家庭環境・人間関係に原因が多く、その原因を改善することができれば乱れを整えることができますが、そう簡単にこの3つは改善できません。

原因を変えることができない場合は日常生活を少し工夫することで自律神経を整えることができます。

 

 

しかし、日常生活の改善をしてもなかなか良くならない方、そもそも日常生活を改善する意欲すらわかない方もいらっしゃいます。

一度乱れた自律神経を整えるのは難しいですし、症状が強ければ強いほど日常生活を改善したいという意欲なんてわかないと思います。

整骨院や鍼灸院に来られる多くの方が『どうしたらいいかわからない』『なにをしてもよくならない』『薬をなるべく飲みたくない』とおっしゃいます。

 

 

鍼灸では、自律神経の乱れを整える治療を得意としており、自律神経を整えるツボに鍼やお灸を打ったり、背骨の歪みを整えたりすることで交感神経を抑えて副交感神経を優位にする施術をします。

こういった治療を続けていくと、自律神経が支配する胃腸などの内臓や血圧などに作用して、内臓の働きが正常化し、それによって免疫力が上がります。そして、自律神経の乱れが原因で起こる症状が改善されていきます。

 

また、鍼灸では鍼を打つことで筋肉の過度な緊張を緩和し、血流を改善していきます。筋肉の過度な緊張を緩和させると、身体は自律神経の反応しやすい状態になっていきます。

鍼やお灸をすると、フレアと呼ばれる皮膚が赤くなる反応が見られます。このフレアが生じているとき、血管拡張物質が放出されて血管に作用し、血管を拡張させます。

 

 

 

 

日常生活を改善してもよくならない方、改善する意欲のわかない方は一度鍼灸治療を試してみてはいかがでしょうか?